温泉手帖♨︎

温泉ソムリエの温泉備忘録

新湯温泉 くりこま荘(宮城)

新幹線のくりこま高原駅から車で50分ほどの新湯温泉は、栗駒五湯のひとつ。源泉は栗駒山の裏掛コース登山口にあり、昔から登山者の疲れを癒してきた秘湯。

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江戸中期の1720年に開湯された300年もの歴史がある温泉だけど、隣にある駒の湯温泉が400年前の開湯なので、新湯温泉と名付けられている。

栗駒山の麗から中腹にかけて一迫川沿いにある温湯・湯倉・湯浜の三湯と、三迫川の上流にある駒の湯・新湯の二湯をあわせて栗駒五湯と呼ぶ。

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五湯の中でも「幻の湯」とされてきた秘湯、新湯温泉。長らく使われていなかった源泉の利用を平成18年から復活させたのがくりこま荘。

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ミズナラの森の中に佇む赤いトタン屋根の一軒宿、新湯温泉くりこま荘は、栗駒五湯の他の宿と違い、宿の歴史が新しい。

約50年前、栗駒山国定公園の指定を受けた際に、国鉄関係者が資金を出し合って建てた、元祖高原リゾートホテルが前身。

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三角屋根に山小屋風の佇まいが当時の雰囲気を想起させる。

男女別の大浴場は夜22時までで、朝は6時から。男女入れ替えはない。

私は規則正しく寝る前にお風呂に入れるから大丈夫だけど、夜中や早朝に入りたい人とは来られない。

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男湯と女湯の造りや景色はほぼ同じものだそう。

こざっぱりした脱衣所。鍵付きロッカーもある。

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シャワーが2つ、リンスインシャンプーとボディーソープもある。
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木の壁に木の湯船に白濁湯。硫黄の香りが充満してる。

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白い細かい湯の花が大量で、足を入れるとふわぁっと舞う。

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湯船の底がぬるつる。湯の花が溜まってるので、少しざらりともする。

湯温は42.6度と熱め。
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木の湯口から出てくるお湯は54度くらいで、かなり熱い。源泉は28.6度なので、加温された源泉。

湯口の横に赤い蛇口があり‘冷泉’と書いてある。

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捻ると勢いよくシュボーっと音を立てて、冷たい源泉が弾けるように出てくる。無色透明。この日は23度ほどだった。

こんなに透明な源泉が、この湯船の色になるなんて。

冷たい源泉で顔を洗うとつるんつるんで気持ちいい。
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源泉を出すと、湯船の縁全体から湯が溢れ出ていく。湯温は想像以上に早く適温のぬる湯になる。

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湯の花も一緒に溢れ出ていく。
常にかけ流されている縁の部分は、白く固まってる。
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縁にこれ程湯の花が溜まるのも、なかなかないかも。
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こんなにがっつり濁った白濁湯だけど、朝はすっかり澄んだお湯だった。湯の花が底に沈み、底が見えるほどに透き通ってる。

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濁り湯だよ、とは言えないほど。

足を入れると一瞬にして濁り湯に。こんな風に湯の花が溜まってる。
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湯船に入って、源泉をばあーっと出せば、あっという間に真っ白な濁り湯に。
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誰かとかちあってしまうと、ぬるくなるほどは源泉を出せない。いや、次に入る人に遠慮して、よほどのぬる湯にはそもそも出来ないけど。
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ドアを開けると木のテラスのようになっていて、露天風呂がある。

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総檜造りの湯船。内風呂より小さめ。誰か入っていたら、入ろうとは思わない広さ。

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足だけつけたけど、46度以上ある。

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加温湯をほんの少しに絞って投入してるけど、湯船が小さいし、誰かが入って源泉を出して調整しない限り熱くなるんだろうな。

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源泉を出して程よくなるのを待ってるのも気が乗らなくてここには入らなかった。

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加温はしてるけど、源泉かけ流し。循環も消毒もない。しかも源泉そのものを自分で出していいなんて、贅沢。ありがたい。

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たくさんの湯の花。カルシウム成分もあるのかも。

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森の眺め。ここも紅葉するのかしら。したら綺麗だろうな。

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大浴場以外に貸切風呂がひとつあり、宿泊者は無料で利用できる。

分かりにくいけど、扉の上のカードを『使用中』にして、中から鍵をかけて入る。
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空いていれば何度でも利用でき、シャワーもシャンプーもある。
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木造りの小さめの内風呂と、森を眺める広い露天風呂。ひとりで使うのは申し訳ないほどの貸切風呂。

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小さな湯船なので、ざばざばかけ流し。源泉を出すとすぐにぬるくなる。

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ドアの向こう、広いテラスの真ん中あたりに大きな露天風呂。

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大浴場の内風呂より広いかも。

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大浴場の露天風呂と同じ森の眺めだけど、開放感が違う。

夕食後にもまた入ったのだけど、月と星がめっちゃ綺麗だった。あとで調べたら十四夜の待宵月だった。どおりで。

でも、獣か鳥か分からないけど、何かが激しく鳴いていて怖くてゆっくりはできなかった。

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こんなに広い湯船でも、冷泉蛇口を捻れば、シュボーっとすごい勢いで源泉が出てきて、いい湯加減になる。ん〜、いい仕組みだ。

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源泉を手に受けてにおってみるけど、周りの硫黄臭にかき消されて匂いが分からない。

味も美味しい水に近くて、ほんのり収斂味はあるけどほとんどクセもない。知らなければ水だと思う人もいると思う。

これが、こんな色と匂いになるのかと不思議。

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糖尿病の名湯として知られているそう。泉質は含硫黄-カルシウム-硫酸塩泉。

じっとりと肌に染み入るお湯で、湯上がり肌はきめ細かくするするになる。

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硫酸塩泉も硫黄泉も美肌の湯。

カルシウム-硫酸塩泉は、乾燥肌のかゆみを鎮静したり、肌の弾力を回復、引き締める効果がある。

硫黄はメラニンの生成を抑制したり、古い角質を溶かしてくれる。

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そんな美肌の湯がかけ流し。源泉を自分で出すことができるなんて、ほんとに有難い。

しばらくは、自分に染み付いた硫黄の匂いがたまらん心地いい。

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名物の岩魚丼、想像以上に美味しかった。骨もぱりぱりに揚げてある。

 

新湯温泉 くりこま荘

★★★★

含硫黄-カルシウム-硫酸塩泉

28.6度

pH 5.9

内風呂(男1女1貸切1)露天風呂(男1女1貸切1)

加温あり 加水循環消毒なし

2020.9.30 宿泊