温泉手帖♨︎

温泉ソムリエの温泉備忘録

別所温泉 旅館 花屋(長野)

別所温泉は、信州の鎌倉 塩田平の西側に位置し、古くは「七久里の湯」と呼ばれ枕草子にも登場する信州最古の温泉。

清少納言枕草子117段に『湯はななくりの湯、有馬の湯、玉造の湯』とあり、「ななくり」を「七九里」の別所温泉という説、「七栗」として榊原温泉 まろき湯の宿 湯元 榊原館(三重) - 温泉手帖♨︎という説、和歌山の湯の峰温泉の説がある。(玉造は鳴子温泉の旧称という説も)

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上越新幹線で1時間半の上田駅から、上田電鉄別所線で30分の終点 別所温泉駅

別所温泉は塩田北条氏が治めた地で、温泉街に近接して安楽寺北向観音といった国宝や重要文化財が数多くあり「信州の鎌倉」と呼ばれている。

北条氏が別院として使っていたことから「別所」という名前がついたとか。

外湯を中心に栄えた温泉街には現在も3つの共同浴場「大湯」「大師湯」「石湯」があり、温泉宿は15軒、中には中村屋、つるやなど江戸時代創業の老舗旅館もある。

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大正6(1917)年に創業し103年目を迎えた旅館 花屋に泊まる。駅から歩いて5分程。

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花屋入口の花屋坂の紫陽花。撮り忘れたので花屋HPより拝借。名前の通り、季節折々の花が咲く花屋。紫陽花の時期を狙って訪れた。

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6500坪の敷地に点在する木造建築は合わせると1500坪。棟ごとに渡り廊下で結ばれ、ほぼ全館が登録有形文化財

部屋の間取りは全て違い、それぞれに当時の宮大工が手掛けた遊び心を垣間見ることができる。
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庭にかかる渡り廊下。池には鯉、紫陽花も咲いていて風情がある。幾度となく用もなく歩きたくなるような渡り廊下。
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もちろん大浴場も渡り廊下を通って行く。大浴場は3つあり、大理石風呂と若草風呂は男女入れ替え制、露天風呂は男女別。
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この渡り廊下の先に若草風呂と露天風呂がある。
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奥に紅い暖簾が見える。あそこが若草風呂。

逆に振り返ると突き当たりに大理石風呂。

つまり、この渡り廊下の両端の先に、男女入れ替え制の大理石風呂と若草風呂がある。

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大理石風呂は15時から21時45分までが男性用。その後、22時から翌朝10時半までが女性。今は紺色の暖簾がかかってるのでまた後ほど。

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同じこの時刻に女湯になっている若草風呂へ向かう。

露天風呂はこの左手から外に出て、外廊下を歩いて行く。

まずは若草風呂へ。
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脱衣所から浴室に入る出入り口が二つある。めずらしい。脱衣所側にはそれぞれの入口近くに洗面所があり、何となく元々二つに分かれてたのかなと思うような造り。
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ドアは押して入るタイプ。レトロで可愛らしい。
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窓がぎっしりある明るい浴室で、外の緑が透けて見え爽やかな開放感がある。ほんのり硫黄の匂いが漂う。
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広い湯船で、二つの湯口から湯が注がれている。42度と高めの湯温だけど、とろりと重たいお湯でそれほど熱さを感じない。とろんとろんの湯感触ではなく、じっとり肌に馴染む感じ。f:id:ayumu27:20190707193411j:image

しっかりした白い湯の花が結構たくさん舞ってる。

ただ、この湯船は一部循環。湯底から循環させた湯が出てくる箇所がある。加水した湯を循環させているみたい。なんでこの湯船だけ循環なんだろう。他はかけ流し。

というか、いっそのこと加水循環させるなら、もっとぬるい湯船にしたらいいのに。

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飲泉もできる温泉で、湯口にはコップが置いてある。硫黄の匂いがふんわりする、芳ばしくて美味しい硫黄泉。

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伊豆若草石という伊豆石を使っているから若草風呂というみたい。湯ざめしにくいらしい。

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肌がなめらかになることから「美人の湯」と呼ばれ『嫁入り前には別所の湯に入れ』と言い伝えられているそう。

古い角質を溶かしてくれる硫黄泉。入浴後は保湿が必要だけど、肌に水分を浸透させる硫酸イオンも含んでいるからか、じっとりした肌触り。

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こちらの利用時間は大理石風呂と逆で、女性が15時から21時45分、男性が22時から翌朝10時半まで。時間を気にせず夜通し入れるのは助かる。

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露天風呂は情緒ある木の回廊を抜けた先にある。
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男女別で、夜は22時まで、朝は6時から10時半まで。 
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こじんまりとした脱衣所から、石の階段を降りていく。
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緑に囲まれた岩造りの露天風呂。f:id:ayumu27:20190708105831j:image

内湯よりふわっとした湯の花がたくさん舞ってる。

とろっとした湯感触でつるつる感がある。

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湯口からは50度の源泉が出ていて、しっかり硫黄の匂いがする。湯温は42.5度と、内湯よりさらに熱い。
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すぐにじわりと汗が出てきて、長湯は無理。回転が早くていいのかも。

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露天風呂はかけ流し。循環はもちろん、加水も消毒もなし。

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梅雨らしい天気で、外は涼しい。渡り廊下をゆっくり歩いて、火照りを冷ます。

清少納言の三名泉、あとの二つは有馬と玉造。それとは別のいわゆる日本三名泉は有馬、草津下呂。これは室町時代の僧が書き残し、林羅山が追認したもの。

平安時代清少納言がわざわざ出かけて行き温泉に入っていたとは思えないけど、清少納言もさぞびっくりするだろうこの宿の大理石風呂。

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こんな大理石だらけのお風呂に一般庶民が入っていいのかしら。

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湯口に至るまで大理石。

若草風呂と同じで、脱衣所には二つの出入り口がある。向かって左奥のドアから浴室に入ると
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こんな感じ。浴室から見る脱衣所側のステンドグラスが綺麗。大正浪漫だ。
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2つ湯船がある広い浴室に出る。

左手にシャワー。手前にも、奥にも設置されている。ミキモトのシャンプー、コンディショナーにボディーソープ。
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床も大理石。どれが大理石なのかさえ分からないのだけど、全部なのかな?大理石だらけ。手前側の床は白が基調。

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高く優雅なドーム型の天井が、明るさと開放感をもたらす。この大理石の壁の向こう、吹き抜けで繋がっていて、もう一つ浴室がある。
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浴室を仕切っている大理石の壁とステンドグラス。
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大理石とステンドグラスの組み合わせが豪華。豪華なんだけど、大正浪漫のレトロ感が漂う。

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こちらの浴室には湯船は一つだけ。

洗い場がゆったりしていて、こじんまりした湯船。
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2面にはレトロな窓。
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窓の周りの大理石はこんなカット。もう大理石なのかなんなのか分からなくなってくるね。

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お湯は分かりやすくかけ流されていて気持ちいい。この大理石風呂は、循環も消毒もないかけ流しで、加水も加温もしていない。
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ので、熱い。43度前後。天井が高いから?大理石がひんやりするから?なぜか分からないけど、43度なんて熱いお湯だけど、あちちちちっ!てならない。不思議だ。
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湯の花はほとんどないけど、湯口はだいぶ析出物が固まってる。
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脱衣所側の壁。絵画みたいで可愛い。このステンドグラス、脱衣所からは
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こんな感じ。
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一つしか湯船がないこの浴室へ入るには、右側のドアから。脱衣所には冷たい麦茶がある。若草風呂には冷たいお水があった。
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もう一度、湯船が二つある大きい方の浴室へ戻ります。

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奥の湯船を囲むように大きめの窓。上部にはステンドグラス、夜でもステンドグラスの上に灯りがあるので綺麗。
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手前二つの四角い湯船よりも少し大きめ。湯底にある小さな丸い石のデコボコが足裏に刺激強め。
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本当に大理石だらけ。大理石からお湯が出てくる。飲泉もできる。硫黄の香りがしっかりする。
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真ん中が湯船の縁で、右が湯船、左は浴室の床。
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奥の湯船から入口を見るとこんな感じ。
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あちらの窓の上のステンドグラスは、また違う柄。

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入口にある手すりは硫黄で真っ黒になってる。
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手前の湯船は隣の小さい浴室の湯船と同じような感じ。
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どちらも熱めだけど、つるつる浴感は気持ちいい。個人的には楕円形の湯船が好み。一番落ち着いて浸かれた。
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この宿、信州銘菓みすず飴の飯島家と南条家が立ち上げた会社が始めた宿だそうで、朝食に葡萄ゼリーやお部屋のお茶菓子もみすず飴。

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あまりにもよく目にするみすず飴だけど、気に留めたことなくて初めて食べた。国産の完熟果汁のみで手作り、保存料なども入っていない。そんなにちゃんとしたお菓子だったのか!みすず飴。
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食べ比べて何味か当てて遊んだ。随分白熱した。やっぱり長野産の杏が一番美味しい。

美味しいと言えば今回一番美味しかったのは、前山寺の住職夫人の手作りくるみおはぎ。

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要予約制だけど、残ってないか聞いてみて食べた方がいいとタクシーの運転手さんにも言われて、運良く頂けた。
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風が通る居心地のいい庫裏で庭を眺めながら。絶品だった。

場所は別所温泉からタクシーで10分ちょっとの塩田城跡にある前山寺境内。

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国の重要文化財の三重塔がある前山寺を起点にあじさい小道が続く。

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4万本のガクアジサイ。少し見頃には早かったけど。
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別所温泉 旅館 花屋

★★

単純硫黄泉

50.9度

pH 8.8

1150ℓ/分

男女交代制内湯2(大理石と若草) 露天風呂(男1女1)

加温加水循環消毒なし(若草風呂だけ加水循環あり)

2019.7.6 宿泊