温泉手帖♨︎

温泉ソムリエの温泉備忘録

郷緑温泉 郷緑館(岡山)

米子空港から1時間ちょっと南下した岡山県真庭市にある湯原温泉郷は、以前泊まった湯原温泉 八景(岡山) - 温泉手帖♨︎のある湯原温泉を始め、足温泉、真賀温泉、郷緑温泉からなる温泉郷。ほとんどの源泉が自噴泉で、伯耆大山蒜山火山のマグマが熱源となっている。

f:id:ayumu27:20190418143931j:image

その中のひとつ郷緑温泉は、おそらく最もマイナーな温泉で秘湯の風情漂う一軒宿。ずっと気になっていた足元湧出の温泉。
f:id:ayumu27:20190418143927j:image

寛永2年(1625年)に発見された温泉で、明治17年に許可を得て「郷六」という名で営業を始めている。
f:id:ayumu27:20190418143938j:image
明治初期に作られたこの石垣と建物、近隣の村人に「手伝ってくれたら一生タダで温泉に入れる」という条件で建てたそう。
f:id:ayumu27:20190418143921j:image

郷緑館の名物は、温泉で育てたスッポン料理。宿の下にある温泉養殖場には2000匹ものスッポンがいる。普通は半年ほど冬眠するスッポンが、温泉だと一睡もせずすくすく大きくなるらしい。
f:id:ayumu27:20190418143941j:image

大手食品会社や老舗デパートからも受注があるこのスッポンを、超格安な宿泊料(1泊2食付で12000円だった‥。安過ぎない⁈)でフルコース、たらふく食べられる。

f:id:ayumu27:20190418145458j:image

「はい、搾りたて〜❤︎」と出された生き血ワインから、お刺身、皮コラーゲンの酢の物、卵の味噌漬け、唐揚げ‥メインの丸鍋に締めのお雑炊まで、こんなにスッポン見たのも食べたのも始めて。

いやいや、スッポンじゃなくて、足元湧出のぬる湯がメインだから。

郷緑館の名物は、足元湧出のぬる湯です。(もう一回言っとこう)

浴室はひとつなので、脱衣所の入口の表札を裏返して30分貸切で入るらしい。普通は。

今夜は1組しか泊まっていないので、貸切です!夜は10時まで、朝は7時からとのこと。この時間縛りで貸切の交代制だと泣くしかない。1組万歳‼︎

f:id:ayumu27:20190418150209j:image

玄関の左側に洗面所があり、その奥に浴室がある。ドアはずっと開けっ放しだった。閉めて入るんだったのかな。レトロなドアがかわいい。

f:id:ayumu27:20190418150214j:image

脱衣所は広々。目の前のドアの向こうは台所。おばあちゃんの笑い声やテレビの音、包丁の音が聞こえる。

湯上がりの脱衣所で体を拭いている時、自分が使っているロッカーにカメムシがいたけど、さほど驚かない。

f:id:ayumu27:20190418150033j:image

3段くらいの階段を上がった先が浴室。
f:id:ayumu27:20190418150021j:image

そっと引き戸を開けると、急に湯の音が響く。左の奥の湯船が源泉浴槽、手前が加温。
f:id:ayumu27:20190418150018j:image

予想外のサンルームのようなシャワー設備。シャワーが2つ。置いてあるアメニティーは石鹸がひとつ。これは想定内。f:id:ayumu27:20190418150011j:image

源泉浴槽の縁からは湯が絶えずかけ流されている。
f:id:ayumu27:20190418150030j:image

底の岩は青みがかった黒で、お湯が青色に見える。

f:id:ayumu27:20190418152245j:image

この巨大な岩盤の隙間から勢いよくお湯が吹き出し、泡がぷくぷくと上がってきている。

深いところだと立ち湯状態。というか、浅い部分でもほんの1箇所だけ、座っていてなんとか顎がお湯から出ていられるところを見つけたけど、基本的に中腰の姿勢。か、壁を背に受け足を突っ張るか。お尻を付けて座ると顔が沈む。

f:id:ayumu27:20190418152241j:image

「足、切らんように気をつけてよ。鋭利なところがあるけーな。」とおばあちゃん。

確かに、容易にどこでも足を突っ込むのは避けたい岩盤。でも、この隙間がほんのり暖かいので、そっと足を差し込みたくなる。

f:id:ayumu27:20190418152253j:image

温泉は山の岩盤の一角から湧いている。中国地方の足元湧出泉のほとんどが川の中にあるのに対し、ここは丘の中腹。近くにある真賀温泉 真賀温泉館(岡山) - 温泉手帖♨︎と同じケースだそう。

真賀温泉は湯船の底に竹筒が差してあり、そこから湯が投入されているので、ここまで、岩から湧いてる感はない。
f:id:ayumu27:20190418150014j:image

湯温は34.7度。この季節はまだ外が寒いので身体も冷えていて、ほっと暖かく感じる。寒くて早く出たいほどのぬる湯ではなく、もうちょっともうちょっとと入っていたい。

底の割れ目あたりは35.1度。間違いなく岩盤の割れ目から湧出してる。

f:id:ayumu27:20190418150003j:image

じぃーっとぬる湯を堪能する。泡付きがすごい。肌に付いた泡を手でなぞると、水面にぱちぱちと音が立つ。つるつるの肌触り。

足を置いている岩がほんのり暖かいのが足裏にじわりと伝わってくる。

響いていた湯の音はこちらの浴槽。
f:id:ayumu27:20190418145958j:image

加温した温泉がざばざばと勢いよく流れ出ている。

湯温は、な、なんと44.7度!42度と説明を受けて入ったけど、軽く44度超え。

f:id:ayumu27:20190423085211j:image

でも最初はあちち!あちち!と大騒ぎだけど慣れると浸かっていられる。ぬる湯で身体が冷えてるからなのかな?44度にかなりの時間入っていられる。少なくとも5分以上。普通じゃ考えられない。

f:id:ayumu27:20190423085737j:image

分析書は脱衣所に規定のものが掲示されていて、浴室にも成分表と温泉の起源がある。
f:id:ayumu27:20190423085741j:image

無味無臭のアルカリ泉で、pH 9.1のつるつるのお湯。

f:id:ayumu27:20190421144410j:image

1つだけ大きな問題点がある。バスタオルがない。秘湯あるあるだけど、何度も何度も入るところに限ってバスタオルがないことがある。

f:id:ayumu27:20190421144405j:image

用意されていた心許ないタオル1枚。ヒーターの前で乾かしながら使った。ここに来るときは、バスタオルとシャンプーが必要です。

宿から新庄村のがいせん桜まで車で20分ちょっと。

f:id:ayumu27:20190418150918j:image

旧出雲街道の宿場町 新庄宿の桜並木。石州瓦の町並みに桜。
f:id:ayumu27:20190418150922j:image

夜のライトアップも昼間の桜まつりも2回愛でた。

桜に合わせて早くから4月2週目に予約をしていたのだけど、3月になると暖かくて今年の桜は早いとの声。
f:id:ayumu27:20190418150915j:image

慌てて1週目に変更しようと電話したけど、満室で無理だったので予定通り2週目に訪れた。(結果的に2週目でもまだ早かった)

HPか雑誌かに、部屋数は6室と掲載されていた気がするけど、実際は何組まで受け入れているのか分からない。

2階は階段を中心にぐるりと6、7部屋あった。そのうち1つに泊まり、襖を開けた隣の部屋でごはんを食べた。さらに襖を開けるとまた泊まれそうな部屋がある、みたいな。これも秘湯あるある。鍵などないおばあちゃんちのような襖続きの部屋に泊まる。もはやなんの抵抗もない。

 

郷緑温泉 郷緑館

★★★★

アルカリ性単純泉

34.2度

pH 9.1

30.5ℓ/分

内湯(源泉1 加温1)

源泉浴槽は加水加温循環消毒なし

2019.4.13 宿泊